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・議論を避け、まずは受け流す
「冷静になってください」「落ち着いてください」となだめすかせるのは意味がない。意味がないどころか「なんで従業員が上から目線で客にものを言うのか」とさらなる反発を受け、事態をさらに悪化させる恐れがある。カスハラの加害者は基本的に「お客である自分は偉い」という前提に立ち、それを否定されるのを許せないからだ。
この場合の対応としては、議論せずに受け流すに尽きる。クレーマーと議論をしても問題の解決にはならない。むしろ「お客に対して反論した」とヒートアップすることになる。しなやかに受け流すことこそ理想だ。
・「お客様もご存じのように」でクレーマーを鈍らせる
具体的な対処方法としては、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。ご存じのように新型コロナウイルスの関係でみなさまにはご迷惑をおかけしています。お客様もご理解していただけるとは思いますが、ご協力のほどお願いします」と回答してみるといい。一見すればたわいない表現ではあるが、クレーマー対応としてのコツが含まれている。
まず一般的な謝罪の文言から入る。これは別に特定の行動に対する謝罪を意図したものではない。挨拶のようなものではあるが謝罪から入ることで「あなたの話を聞く姿勢です」ということをクレーマーに示すことになる。
これでクレーマーのトーンが落ち着くことがある。次に「ご存じのように」という言葉で新型コロナウイルスについて触れていく。新型コロナウイルスの影響でサービスや流通に影響がでているのは誰しも理解していることだ。
クレーマーにしても新型コロナウイルスで影響がでていることを否定することはできない。あえて反論できないトピックスを示すことで、話し合いの流れを変えていくことができる。さらに「負担はみんなが共有している」ということを示していく。
クレーマーに対して「まさか誰しも負担を強いられているなかで自分だけが利益を得ようとしているわけではないですよね」と言外にプレッシャーをかける意味がある。クレーマーといえども明確に「自分だけ利益を与えろ」と言うことはできない。反論の言葉に困ることになる。
そのうえで最後に「お客様もご理解いただけるとは思いますが」と誘導的な言葉を持ってくる。この言葉には、「聡明なあなたがまさか不当な要求をするわけないですよね」という牽制的な意味がある。クレーマー対応のコツは、相手の自尊心をくすぐることにある。