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<カネで解決は大間違い!>お客様の衣服を汚してしまったら

2016年5月19日

○月×日 午後

土下座までさせられた末……

 「彼女からもらった大事な服を汚しやがって、弁償しろよ!」─。

ある飲食店チェーンで、従業員が配膳中に誤ってコップを倒し、ドリンクがテーブルや床に飛び散るという事故があった。すると、この席に座っていたお客が「服を汚したな!」と言って激昂した。

当初、このお客は「クリーニング代を払え」と店長に迫ったのだが、それが認められると突然、要求をエスカレートさせて「弁償しろ」と言い出した。もっとカネを取れると思ったのだろう。要求してきた金銭の額は、着ている衣服の値段と釣り合わない高額なものだった。

お客様の衣服や所持品を誤って汚してしまうトラブルを「衣服汚損(おそん)」という。衣服汚損が起きた場合、汚してしまったものを元の状態に戻す「原状復帰」に必要な費用を店側が負担するのは当然だが、それ以上の金銭的な負担をする必要はない。今回のケースならクリーニング代金を支払えば十分だし、汚れが落ちない場合は、汚れた服と同程度の額の弁償をすればよい。

店長はそうした衣服汚損時の対応ルールに従って、法外な買い替え代金を支払うことを拒否した。すると、このお客は「上司に連絡させろ」と捨てゼリフを残して立ち去った。その後、店舗からの連絡で駆け付けたスーパーバイザー(SV)が、そのお客に呼び出された。合流場所はある町の路上だ。住所を知られたくなかったのだろう。

SVは店側の方針について説明したが、なかなか納得してもらえない。あまりにも執拗な追及に最後は土下座までさせられた末、交渉は決裂した。

しかし、このお客もなかなかあきらめない。本社に連絡が入り、今度はお客
様相談室が対応することになった。しかし、何回電話のやり取りをしても話は平行線をたどった。

そこでお客様相談室室長は、直接お客様に会うことにした。服を汚してしまったことを詫びると共に、弁償には応じられない旨をきっちり伝えるためだ。だが、アポイントを取って、待ち合わせの場所に行ったものの、相手は現れない。そのまま、電話連絡もできない音信不通状態になってしまった。カネを取れないとあきらめ、最後に嫌がらせをしたのだろう。

私はこの話を聞いて、次回の店長会議で、この事例を基に衣服汚損時の対応について、話し合うことにした。SVや相談室が費やした時間も含めたコストを考えれば、さっさと衣服の買い替え代金を支払い、カネで解決した方が安上がりなのかもしれない。しかし、それで味をしめれば、わざと服を汚して言いがかりを付けるクレーマーが続出するだろう。苦しくてもどこかで一線を引くしかないのだ。

○月△日 夕方
衣服汚損対応ルール

今日は店長会議の日だ。私は先日聞いた事例を店長たちに話し、次のようなことを改めて申し合わせた。

クリーニングの代金は、レシートと交換でお支払いする
着替えを用意する場合は、汚れた衣類は預かり、クリーニング後に着替えと交換する
衣類の弁償が必要な場合には、新品の購入代金を負担すべきではない。着古した服は、価値が下がっていることを前提に補償金額を提示する
これは私もメンバーである外食チェーンのお客様窓口担当者たちの標準的な対応ルールでもある。プラスαのお詫びとしてどこまでするかは、会社の考え方や状況次第だが、料理代金の一部を差し引いたり、1品無料サービス券をお渡しする程度に留めるべきという考え方は一致している。「お客様への誠意は金銭的にではなく、その場で親身になって対応することで示すものです」。私はそう言って話を終えた。

○月△日 午後
“割り切り”も必要

店長会議の翌日、A店長が声を掛けてきた。「先日の話に出た相手はクレーマーですから徹底的に戦うべきだと私も思います。しかし、普通のお客様の服を汚してしまって、その方に着替えをお渡ししたとして、『汚した服はきれいにして返しますから着替えは返してください』とは言いづらくないでしょうか? 衣服汚損時の対応ルールは少し厳しくありませんか?」と言う。

「確かに、現場の雰囲気でできないこともあるだろうけど、可能な限りの努力をしてほしいんだ。『迷惑をかけたのだから、もっと誠意を見せろ』という圧力を感じることはあるかもしれない。でも、その要求に応じていたら、キリがないのも現実なんだよ。あらかじめ、どこまでやるか基準を決めて、それ以上はできないとお客様にお伝えする。それで納得いただけないならやむを得ない。時には、割り切りも必要なんだ」。私はA店長にそう説明した。

これだけは押さえたい!
今月のポイント

原状復帰が基本
お客様の衣服や所持品を汚してしまった場合、金銭的な補償は、元の状態に戻す「原状復帰」に必要な費用までにとどめたい。クリーニングが必要なら、その代金。衣服を買い替える場合には、汚してしまった服の価値を上回る金額を支払うべきではない
割り切りも大切
衣服を汚されたお客様が、原状復帰以上の金銭的補償を求めてくる場合も多い。謝罪の気持ちと金銭的な補償は切り分けて考えること。店側が事前に決めたルールに従って対応し、それで納得いただけないならやむを得ないという割り切りも大切だ

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