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東京都の進めるカスハラ防止条例:一般企業や日常生活への影響は?

カスハラ

カスハラとは?その実態は?

客がお店のスタッフや企業の顧客窓口などの担当者に対して行う迷惑行為や悪質なクレームなどのことをカスタマーハラスメントと呼び、これを略して「カスハラ」と呼びます。

「カスハラ」の発生件数は、年々増えていると言われていて、日本労働組合総連合会が、2022年に行った「カスハラ」の実態を調べるためのインターネットによるアンケート調査では、直近5年間の発生件数の変化について、36.9%が増加したと回答し、減少したと回答した7.7%を大きく上回りました。

増加したと回答した人が複数回答で選んだ増加の理由は人数の多かった順に以下のようなものが選ばれています。

    ・格差、コロナ禍などの社会の閉塞感などによるストレス ・過剰な顧客第一主義の広がり ・人手不足によるサービスの低下 ・SNSなどの匿名性の高い情報発信ツールの普及

また、「カスハラ」を実際に受けたことがあると答えた人の76.4%の人がカスハラを受けたことで「生活に変化があった」と回答しています。

実際にあった変化については

    ・出勤が憂うつになった ・心身に不調をきたした ・仕事に集中できなくなった ・眠れなくなった

などが多く選択されました。

こうした実態を、ハラスメントを研究する専門家は、「格差社会や少し前にはコロナ禍などによるストレスもあって感情を抑えられず、弱い者いじめのように店員などを攻撃しカスハラに発展する」などと分析しており、日本労働組合総連合会は、「カスハラが発生する状況は業種により様々であるため、企業・業界がみずから職場の状況に応じたガイドラインなどを策定し、ハラスメントが起きない環境を作ることが重要だ」としています。

苦情やカスハラに対応するためのガイドラインをお店や企業で決めておくというのは、このコラムでも度々お勧めしている事ですね。

東京都のカスハラ防止条例について

こういった現状を受け

て、東京都では全国に先駆けてカスハラ防止条例の制定を目指した動きを開始したものと予想されます。

東京都カスハラ防止条例制定の現状

今回の東京都のカスハラ防止条例制定の動きは、2024年度第1回定例都議会の148件の議題のひとつとして、「顧客による著しい迷惑行為『カスタマーハラスメント(カスハラ)』を防止する条例を制定する」として挙げられています。東京都は去年から、「カスハラ」の問題が深刻化しているとして、対策会議を設けて大学教授や労働団体の担当者などで議論を行ってきました。これらの議論での意見を踏まえて、現時点では罰則を設けない方向で、都議会の代表質問などで議論し、早期の条例案の提出を目指している段階です。

課題・問題点、罰則なしでも意味はあるの?

現時点で東京都では、罰則無しの条例の制定を考えているようです。というのも、先述の対策会で「罰則を設けることでその範囲から外れた行為が許される認識が広まってしまう」「罰則に該当する具体的な行為を決めるには時間がかかる」などの意見が出ていることが理由だそうです。

では、罰則なしの条例でも意味はあるのでしょうか?

結論から言えば、意味はあるでしょう。

一都道府県の条例とは言え、カスハラを「行うべきではないこと」として明言化、条文化することにまず大きな意味があります。また、東京都が条文化することで、企業単位に丸投げされていた基準の「目安」のようなものができると言えるでしょう。

一般企業のメリット、デメリット

カスハラ禁止条例が制定されることでの一般企業へのメリット・デメリットを考えてみましょう。

一般企業へのメリット

一つの都道府県が条例を制定することで、他の都道府県が連鎖的に条例化した例は過去にも多数あるため、まずは「条例化する」という事自体に意味があると言えます。

どんな企業でも一般的な企業であれば、自社の製品やサービスを提供する相手となるお客様が存在しています。お客様が存在している以上、相手が企業であれ、個人であれ、カスタマー(顧客対応)は存在します。

つまり、どんな企業であってもカスハラの被害者になる可能性を持っていると言えます。

そんな中で特に、企業単位に「丸投げ」状態であったカスハラの基準や対策などについて、罰則なしとはいえ、条例として明文化することで、世の中への警笛となったり、企業がガイドラインを策定するときの目安となったりするでしょう。

もちろん、罰則はなくても、一定の基準や目安になることで、カスハラが減ることが企業への最も大きなメリットといえます。

一般企業へのデメリット

前述のとおり、どんな企業でもカスハラの被害者になる可能性を持っていると同時に、どんな企業でもカスハラの加害者になる可能性も持っています。

特に、強い立場での取引をしてきた企業にとって、今後、これまで以上に取引先への苦情や要求の出し方、伝え方、程度などについて、気を使う必要が出るかもしれません。

しかし、強い立場、弱い立場にかかわらず、取引先と良好な関係を作ってさえいれば、さほど来にする必要もなく、特にデメリットとなるようなことはなさそうです。

日常生活への影響は?

今回の条例が制定されることで一般の皆さんの日常生活にはどんな影響があるでしょうか?

日常的にクレームを付けるのが生きがいのような方以外には特に大きな影響はないように思えますが、SNSでの発言などでは、「もし、客とクライアントの関係ならカスハラ案件」のような意見は出るようになるかもしれません。

そう考えると、日常生活での発言や周囲の人との関わり方にも多少の影響はある。と言えそうです。

しかし、こちらも企業同士の関係性と同様で、周囲の方といい関係性を作れていれば、さほど来にする必要はないでしょう。

まとめ

今回の東京都のカスハラ防止条例では、罰則なしでの条例制定となる見込みですが、全国で初めて、カスハラに関する条例ができるということで一定の意味があると言えます。

日常生活への影響はさほど大きくはなさそうですが、企業にとっては「カスハラの基準」ができる可能性が高いことと、東京以外の道府県が追随する可能性も高いので、他府県の企業にも無関係ではなさそうです。

2024年3月31日