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厚生労働省の精神障害の労災認定基準によれば、「顧客や取引先からクレームを受けた」という事情が心理的負荷の要因となる出来事として列挙されています。そして、そのクレームの内容が「業務に関連して、顧客等からクレーム(納品物の不適合の指摘等その内容が妥当なもの)を受けた」場合であっても、心理的負荷の強度は「中」とされています。
アンケート結果においても、精神疾患になったことがあるという回答をはじめとして、迷惑行為の結果90%を超える従業員がストレスを感じたと回答しています。
昨今のクレーム事例では、長時間にわたって理由のないクレーム対応に追われる事例や、セクシャルハラスメントを受ける事例をはじめ、店内で従業員が土下座をさせられる事例、暴力を振るわれるといった常軌を逸した事例も現れています。内容が妥当なクレームであっても心理的負荷がかかるとされているなか、このような理不尽なクレームが従業員の精神に対する多大なストレスとなり、精神疾患の要因となり得ることは明らかです。
そうであるとすれば、企業として従業員を不当クレーム・悪質クレーマーから守ることは、従業員に対する安全配慮義務の履行として求められているといえます。