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「部下が集団で会員制交流サイト(SNS)を利用し、特定の上司の悪口を言い合う場合もハラスメントになる」。ある弁護士が講演で解説していた。上司から部下への圧力がパワハラのイメージだが、その逆もあるのだ
形態が多岐にわたるハラスメントへの関心が高まったのは、性的嫌がらせをめぐる国内初の民事裁判が起こされた1989年に遡(さかのぼ)る。「セクシュアル・ハラスメント」がこの年の新語・流行語大賞の新語部門で金賞になるなど一気に注目された
厚生労働省によると、都道府県の労働局などにある総合労働相談コーナーに寄せられるハラスメントに絡む相談は増えている。昨年度は8万7570件と全体の4分の1を占めた。8年連続で相談内容のトップと、深刻さを物語る
最近、目立つのは顧客や取引先が、威圧的な言動や理不尽な要求を突き付ける「カスタマーハラスメント」。職場内の人間関係によるセクハラやパワハラとは異なり、苦情との線引きも難しい
同省は来年度、企業向けのカスハラ対応マニュアルを策定する方針だ。企業にとって従業員も顧客も大切にしたいところだが、迷惑行為の顧客から従業員を守っていく工夫は必要だろう。