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飲食店の皆さんや、被害を受けてしまったお客様による検索と思われますが、みなさん、お客様の服や持ち物を汚してしまってとても悩まれているご様子。
過去の「<カネで解決は大間違い!>お客様の衣服を汚してしまったら」という記事で事例をご紹介しているせいかと思いますが、こちらの記事は事例が中心でしたので、今回は対応の方法を中心として記事を書きたいと思います。
予め申しておきますが、我々は、お客様対応につきましてはプロであると自負しておりますが、決して法律の専門家ではございませんので、その点はご注意の上、お客様対応のご参考にしていただければと思います。
目次
最初に確認。お客様の服や持ち物を汚してしまうのはどんな状況が多いの?
まず最初に、お客様の服や持ち物を汚してしまう状況や、お客様の状況をある程度整理しましょう。
お店の規模や業態などによって、当然、様々なシチュエーションで事故が発生してしまうのですが、弊社が把握している範囲では、お客様の服を汚してしまう、多くの場合は、着ていない状態で発生しているようです。例えばよくあるのが、テーブルの上でドリンクをこぼしてしまって、こぼれたドリンクが足元の荷物箱や、椅子の上に置いた服や持ち物に垂れ落ちてしまうケースです。
飲食店のみなさんもお客様の動きには注意しているので、確率としては脱いで置いてある、あるいはハンガーに掛けられている状況で事故が発生するのでしょう。
また、お客様の状況を考えてみましょう。
例えば、普段着で近所に出かけた帰りに飲食店に立ち寄って、そのあと、一人で車に乗って誰にも会わずに家に帰る場合と、人生の一大決心、例えばこの後にプロポーズをする予定で、しっかり服装も髪型も決めて予約して訪れたレストランの場合では、同じ事故が発生してもお客様の気持ちは大きく異なります。
このようにお客様の状況も様々ですが、一般的に、飲食店に入った後に誰にも会わずに一人で帰る人は少ないでしょう。例えば、真っ直ぐ家に帰る場合でも、電車やバスなどの公共機関を利用する場合も多いので、誰にも会わずに家に帰る。という人は圧倒的に少なくなります。
以上のことから、今回は、お客様には火傷などのケガはなく、お客様は事故の後にも人と会うという場合を想定して考えていきます。
ポイント1 お客様の服や持ち物を汚してしまったとき、最も大切なのは最初の対応!そのために必要なことは?
お客様の服や持ち物を汚すという事故が起こってしまったとき、何よりも大切なのは、即座の対応です。その内容次第で大事になってしまうか、その場の謝罪で済んでしまうか、大きな分かれ道となります。
我々の本業は御存知の通り、お客様の相談窓口、コールセンターですので、我々のところに電話が来るのは通常、服や持ち物を汚されてしまったお客様からの苦情です。そして、その中で最も多いのは、「ちゃんとした謝罪がなかった」「誠意が感じられなかった」というご連絡です。
原因が何であれ、店内で従業員がお客様の持ち物を汚してしまった場合、100%お客様が悪い。という場合はほぼないでしょう。
そうであれば、まず何よりも一番最初にするべきなのは、とにかく汚れを広げないようにすることと、お詫びをすることです。
最初に想定したとおり、お客様にケガなどはなく、事故の後にまだ人と会う状況がある場合、お客様が一番最初に気にするのは、この後、汚れた服で歩くのは恥ずかしいということではないでしょうか?
ですから、とにかく汚れを広げないようにすることが非常に大事です。この「汚れ」がこのあと、どれほど目立つか。という事が本当に大きな問題なのです。
それと同時に大切なことはお詫びの言葉です。
海外には「謝ってしまうと、負け。全てのミスを認めたことになって損害も全て負担しなければならない」といった文化がある国もあるようですが、ここ日本では決してそんなことはありませんよね?
汚れが最小限に抑えられるように対処をしながらでも、「すみません」などのお詫びの言葉と、「大丈夫ですか?」というお客様のお身体の無事を確認する思いやりの声をかけるだけで、お客様の怒りや服が汚れてしまったことへの悲しみなどは、多少であっても、必ず軽減されます。
まとめると、初動で最も大切なことは、以下の2点になります。
1)とにかくすぐに、汚れが広がらないように対処する
2)「すみません」などお客様へのお詫びと、「大丈夫ですか」などお客様の身体の安全を確認する声をおかけする。
ポイント2-1 謝罪はとにかく現場で行う!一番ダメな対応は「後ほどご連絡致します」
さて、お客様の服や持ち物を汚してしまうという事故が発生してしまって、とにかく、掃除や謝罪の言葉など、初動の対処はなんとかクリアしました。
さて、これで問題が終わりでしょうか?
そうではないから、弊社のコールセンターにお電話を頂いたり、たくさんの方が「お客様の服を汚してしまった」という言葉で検索をして調べているのでしょう。
では、次の対応はどうするのが正解でしょうか? 正解は謝罪です。
先程緊急で対処をしながらお詫びの言葉は伝えましたが、「謝罪」はまだ行っていません。
先述の通り、客様の相談窓口にくる最も多いお言葉は、「ちゃんとした謝罪がなかった」「誠意が感じられなかった」といった内容です。
ですから、きちんとお客様に誠意が伝わる謝罪をする必要があります。
こぼしてしまったものの掃除などが一段落した段階で、お客様がまだ店内にいるのであれば、きちんとお席に行って謝罪を行いましょう。「後ほど本社から謝罪いたします」などと言って紙とペンを持ってきて、お客様の個人情報を書かせてしまうという対応を聞いたことがありますが、お客様の気持としてはこれは最悪の対応です。
とにかく、現場できちんと謝罪をすることは絶対的に必要です。そして、お客様の情報を聞き出すのではなく、責任者や連絡窓口など、お店の情報をお客様にお伝えするべきです。
そして、その時、謝罪の言葉はもちろんですが、一番大切なのは態度です。
「こちらが悪かった」「本当に申し訳ない」という気持ちをお伝えすることが、最も早い解決策です。
そして、可能であればその場でなにかサービスをした上で、後日使えるサービス券などをお渡しできると良いです。
「汚してしまったお詫びに、デザートをサービスさせてください」 と言われれば、お客様の気持も、少しは和らぎますし、サービス券を貰えば、すこし嫌なことがあった店でも再び訪れやすくなります。
しかし、ここで注意があります。
汚してしまった範囲が広くて、お客様がとても気にしている状況で、同じことをした場合、却ってマイナスになる場合があります。
汚してしまった範囲が広くて、お客様がとても気にしている状況の場合は、先にクリーニング代などのお話をするべきです。そうしたお話なしに、サービスする話をしてしまうと「デザートだけで誤魔化そうとしている!?」と思われて、却って怒らせてしまう場合があるのです。
ポイント2ー2 お客様の服や持ち物を汚してしまった時のクリーニング代の相場はいくら?
さて、では、お客様の服や持ち物を汚してしまった場合、クリーニング代はいくら払うべきでしょうか?
最終的な金額は、正直にいうとケースバイケースになってしまうのですが、その場での即座の対応として最もお勧めできる対応は、「3000円を包んでお渡しして、『不足があれば、後日ご連絡が欲しい』旨をお伝えする」です。
当然、汚れが非常に軽微で、お客様が気にもしていないご様子であれば、この対応は必要ないかも知れませんが、汚れがある程度以上であれば、お客様がなにも言っていなくてもクリーニング代をお渡しすることをお勧めします。
理由は、こうすることで、問題がここで終わる場合がほとんどだからです。
また、3000円の根拠として、一般的な染み抜きは多くのクリーニング店で1000円~2000円で済みます。酷い汚れになって、服を買い換えないとダメだという場合を除けば3000円で原状復帰が可能なのです。
ただし、お客様の単価が高いようなお店であれば、金額をもっと多くした方がいい場合も考えられます。
ここでポイント2の対応をもう一度まとめると、以下のようになります。
1)初動での掃除などが一段落した段階で、お客様のお席にお詫びに伺います。
2)汚れがある程度以上であれば、お詫びと同時にクリーニング代と、店側の連絡先をお渡しします。
3)ご連絡頂いたときのために、と前置きしてお客様のお名前を伺います。
4)その日にできるサービスをご提案します。(デザートやお持ち帰り品のサービスや、居酒屋などであればドリンクをサービスで提供するなど)
5)後日使えるサービス券などをお渡しします。
上記の3について、「お客様の連絡先を聞くんじゃないの?」と思われた方もいるかも知れませんが、連絡先を聞いてしまった場合、こちらから必ず連絡をしなくてはなりません。そして、その連絡が遅れた場合や、連絡の方法によっては、却ってお客様を怒らせてしまう場合が多いのです。
ですから、お客様が自ら連絡先を伝えてくる場合以外は、こちらの連絡先を教えて、ご連絡を頂いた時にわかるように、お名前だけお伺っておくのがベストなのです。
更にいうと、お客様がそこまで気にしていない場合、無理にお客様の個人情報を欲しがると、却ってお客様に不快感を与えてしまったり、場合によっては嫌がられます。
4については、その日のお客様の記憶を、「服を汚されてしまった」ではなく、「サービスしてもらった」記憶で終わらせる事が目的です。
また、5は再び来店をしていただきやすくすることが目的です。
4と5については、最近のインターネット対策にもなります。 最後の記憶が悪いまま終わっていまうと、お客様の怒りが冷めきらず、怒りのはけ口をSNSなどに求める場合があります。また、そのとき、「もう二度といかない」と思っている店に対する書き込みと、「サービス券ももらったしもう一度行ってみようかな」と思っている場合では、内容が異なってくると私は考えます。
ポイント3 お客様の服や持ち物を汚してしまったとき、最も大切なのは対応のスピード!そのために必要なことは?
ここまで飲食店などでお客様の服や持ち物を汚してしまった場合の対応についてまとめました。
もちろん、汚してしまった度合いが本当にひどい場合、上記の対応だけでは終わらず、後日の対応が必要な場合もあるでしょう。
しかし、ちょっとした事故であれば、上記の対応で終わってしまう場合がほとんどです。
つまり、素早く、その場で対応することが最も大切なのです。
しかし、素早く、その場で対応しろ。と言われても準備をしておかないとなかなかできません。
要するに、汚してしまってから対処方法を考えるのではなく、汚してしまう前に、対処方法を決めておく。コレが本当に最も大切なことお客様の服や持ち物を汚してしまったときの対処ポイント3です。
まとめ
今回は、お客様の服や持ち物を汚してしまったときの対応についてまとめてみました。
最初にも紹介した、「<カネで解決は大間違い!>お客様の衣服を汚してしまったら」という記事でも書いたとおり、金銭を際限なく要求してくるいわゆる「当たり屋」のようなたちの悪いお客も実際にいて、全てがマニュアルどおりに解決できるわけではありません。
しかし、マニュアルを作成して、普段からアルバイトさんまでしっかりと対応を教えておくことでほとんどのトラブルを最小に抑えることは可能です。
この記事が、どこかのお店のお客様の服や持ち物を汚してしまったときのマニュアルづくりに御役にたてば幸いです。